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ハート・ロッカー

すごいすごいすごいすごい!この作品とビグロー監督がオスカー6冠をとったということを含めたすべてがすごい。観終わってこれを表現するのは感動という言葉ではなく、人間ってそういう存在なんだよな、と胸に迫るものがあってしばらく席を立ちたくなかった。

装飾を削ぎ落とし、この世界に生きているというのはどういうことなのかを求め、死の危険を目の当たりにして極限の緊張状態になったときに訪れる、魂と心と体が1ミクロンも乖離していない突き詰めた悟りの瞬間が描かれている。その瞬間は激しく孤独でこの上なく静かで安らかで、そうなったときには本物のやさしさというものが顔を出すという人間の本質。それを表現した芸術作品だと思う。その芽は、20年近く前のビグロー監督の「ハート・ブルー」の真夜中のサーフシーンやキアヌ・リーブスとパトリック・スウェイジの追跡場面で頻繁に表現されていたもので、そこにはビグロー監督の哲学が常に底流に流れていた。なんという知性!

それは、「ディア・ハンター」や「シン・レッド・ライン」、そして「バベル」、さらにアウシュビッツに収容された精神医学・哲学者のフランクルが書いた「夜と霧」で描かれている、極限状態で垣間見る人間の本質ととても通じている。これは、とても哲学的で内省的な映画。はっきりいって、人間の内面を追求したことのない人や起承転結がはっきりしたものしか面白くないという人には不向きだと思う。

そしてそして、ドライでやさしさに満ちた命に対するスタンスとこの世界に生きていることの切なさ、男たちを純粋でいとおしい存在だと感じる目線、これは成熟した大人の女性監督にしかできない所業。オスカーの授賞式で、監督賞を発表するとき、プレゼンターのバーバラ・ストライザンドが、「The time has come !」と胸をはって誇り高くビグロー監督の名を呼んだ場面にはものすごく感動した。時代は少しづつだけど確実に動いているのだと思った。

まぁそれにしても、私はテルアビブで催涙弾を浴びて目の前を血を流して叫びながら走るアラブ人と一緒に逃げ惑ったり、NYのリハビリ病棟でベトナム戦争帰りでドラッグ漬けになって涙腺が壊れてしまった黒人兵と静かな時を過ごしたり、テヘランで空爆の轟音を遠くに聞いたり、孤島ではカメラクルーに自分の水をあげてしまって自分は脱水症状で死にかけたりとかそんな経験をしているのでなんだかいろんな場面がとてもリアルに感じられたのは確かで。いろんな経験してると映画も深く観られてうれしいなぁ。じこまん。

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